失敗しないためのミシン選び

最近「服が縫えないミシン」が沢山出回っている大変困った現象について先に触れておきたいと思います。

「ついつい 安いから」と買ったミシンが、いざ使ってみると「えーッ! 洋服が縫えな〜い!!」・・・低コストの流通経路で量産を目的に出てきたこの類の『ミシン』は、洋服を作る目的で買った人にとっては まったく的外れな買い物という事になります。

このような粗雑なミシンが出てきた背景には『洋裁離れ』という近年の社会現象があります。近頃のミシン購入の目的は、洋服を作るだけと限りません。「子供が幼稚園(保育園)に通うようになって袋類や雑巾が必要」「パッチワークでちょっとミシンを」「既製服の直しにちょっとあれば便利」・・・という様に この「ちょっと」の必要性でミシンを購入する人が増えました。この場合、価格の高いミシンは利に合いません。安価なミシンとしっかりとした性能を持つミシンが並んでいても、素人には選択方法が分からず同じ物に見えます。ついつい安いミシンに引かれてしまいます。

「服作り」を目的にミシンを購入する方は、ミシン選びは呉々も慎重に慎重に行ってください。



そこでミシンの機能に触れながらミシン選びのキーポイントについてお話をします。

一番分かりやすい判別の方法ですが、「服が縫える」か「縫えない」かは『モーターの回転数』で判断できます。回転数はモーターの力に比例します。つまり 高速回転のミシンは力のあるミシンという訳です。

「力」・・・つまり 「針が布に刺さる力」 「布を押さえる力」 「送り歯が布を送る力」・・・この大切な3つの力があって初めて、布を歪めることなく、同じ目幅で まっずぐ縫えるのです。
この力がどの程度あるかがミシンの性能に大きく関わってきます。

デモンストレーションで「こんなに厚い布も難無く縫えます」と高低のない布を実際に縫って見せ性能をアピールする場面をよく見かけます。でも良く考えてください。服を作る時、常に布の厚さや固さは一定ではありません。急に厚くなったり、急に薄くなったり、布の端にステッチをかけたりと・・・こんな時こそ「針が布に刺さる力」と「布を押させる力(しっかり挟む力)」と「送り歯が布を一定の速度で送る力」が必要です。

縫いにくい生地は厚い生地に限りません。見た目は薄く柔らかそうなのに織りが緻密で針が通りにくい生地もあります。裁断を終え、イザ本縫いを始めたら「ミシンがちっとも言うことを聞いてくれない!」のでは『完成』の夢ははかなくもそこで断ち切られます。どんな布でも縫えるミシンを選びたいものです。その選択のキーポイントがこの『モーターの力』です。

モーターは内蔵されている物が多いので、外見では分かりにくいのですが、説明書や販売員に尋ねるなどして確認しましょう。

ここでもそんな観点で詳しく説明することにします。縫合用ミシンは大きく分けて次の3つに分類されます。左から順に(又は 下の目次欄を)クリックしてご覧ください。総合的な理解が深まり正しい選択の助けとなるでしょう。

  

1.失敗しないためのミシン選び

2.具体的な選択基準 

3.工業用ミシン 

4.職業用ミシン

5.家庭用ミシン 

6.ロックミシン 

7.中古ミシン