でも、自分で製図をすると、パンツの製図はかなり難しい。 形良くでき上がらないと諦めてしまうこともしばしば、、、。 手元にあるこのパンツに限りなく近い製図を引いて、おしゃれができたらなー パタピッ を操作する方法を解説します。
採寸が分かり易いジャストウエストパンツの入力表と、股上が浅いローライズパンツの入力表の2つを解説します。 ローライズパンツはパタピッ のデザイン補正項目をフルに使用します。 両表を比較することで、パンツ製図の構造的違いが分かり、製図知識がより深まるでしょう。 難しいパンツですが、今回のこのパンツのパタピッ 操作は★一つです。 その意味で、手元に自分にぴったりのパンツがあれば、その現物を計測して、パタピッ に入力することで、より好みにぴったりのパンツに仕上がるでしょう。その方法についても、図や写真等で説明します。 その技も身に付けてください。 更に、体型補正についても解説します。 こちらも入力数値だけです。
パタピッ は、各々にぴったりの製図を作成することができます。 手元にぴったりのパンツがある場合、そのパンツを計測してパタピッ に入力すると、より自分好みのパンツが仕上がります。 後半で解説します。 横伸びのあるストレッチ生地を使用する場合は、下表の「Hゆとり」は「1〜2」でも良いかもしれません。 このデザインは、もも周りも細くピタッとフィットしています。「前渡調節」「後渡調節」にマイナス数値を入力して、もも周りを細くしました。 この寸法も、手元のパンツを計測して調整するとができます。 二つの入力表を紹介します。 一つは、ベルト位置がジャストウエストのパンツ、もう一つは、ベルト位置を下げて履くパンツ(ローライズパンツ、ヒップハングパンツ) ジャストウエストで履く場合の「ウエスト」入力は、メジャーで着用者のウエストを測り、ゆとりとして2cmほどプラスしましょう。 ![]() ジャストウエストより操作が複雑になります。 上表との違いを下記で解説しますが、初心者にはこの解説が難しいかもしれません。 一着作成して試着することで、それらの意味が分かるようになりますので、入力表を参考にパタピッ を操作して、まず一着作って試着してみましょう。 股上の深さやウエストのフィット具合などでは、採寸が難しい点で補正が必要になることもあります。 縫い代を多めに付けて作成しましょう。 <ジャストウエストとの違いについての解説> 下表より股上が浅くなると、「ウエスト」の入力数値は更に増え、ヒップ寸法により近くなります。 既製服のローライズパンツの多くは、ベルト通しが付いています。 着用すると幾分緩め、、、と感じる方も多いでしょう。 既製服の場合は、多くの人が履くことができるサイズに仕上げ、皮ベルトなどできゅっと締めると程よく腰に収まる作りです。 販売戦略でもあります。 「前丈調節」で1cm下げました。 ローライズパンツの既製服のウエストラインを観察すると、多くのメーカーで前中心を下げています。 お腹周りの窮屈感を解消する効果があるでしょう。 ローライズパンツで注意が必要なことがあります。 前中心の傾斜にも注目してください。ローライズパンツの既製パンツの前中心を観察すると、ジャストウエストの製品より前中心を傾斜させています。「前傾斜調節」にマイナス数値を入れることでこの角度が変わります。 腰で履きますので、「パンツ丈」は股上を下げた分量だけ短くなります。 ![]() 上表を参考に、パタピッ に数値を入力し、「実行」ボタンを押すと下図の製図ができ上がります。 ![]() 下はローライズパンツの製図です。 「ウエスト」と「ヒップ」の入力数値の差が多い場合は、ダーツの幅は広くなります。 その場合は、前ダーツは消さず縫いましょう。 前ダーツをどうしても消したい、、、という場合は、「W脇点移動」と「前傾斜調節」の数値の調整で細くなっていきますので、その機能を使用して前ダーツを消すか、或いは、既製服のパンツの様に、「ウエスト」の入力数を大きくして(着用した場合に緩めに仕上がりますが)、皮ベルトで調節して着用する、、、そのどちらかの選択となります。 ![]() これで終了です。 基本的には、パタピッ は数値操作で形の良い製図ができ上がりますが、身体にぴたっとフィットしたパンツ製図の場合は仮縫い(試作)が必要でしょう。 生地の性質によっても着心地は変わります。慎重に製作しましょう。 二つのデザイン操作の製図面での違いを、両製図を重ねて表示してみました。 ![]() 後パンツも同じく、股上を浅くしましたので、ウエストラインは下図の様に下がりました。 ![]()
気に入ったサイズのパンツが身近にある場合、そのパンツの各部分を測って、パタピッ に入力する際の参考にしましょう。 渡り寸法を測りましょう。(下図参照) 製図では、右図の部分になります。 現物通りに、つまり、前後渡り寸法を厳密に同じにするには、パタピッ 操作後に、CAD画面で(または、印刷後に紙面で)修正することになりますが、それによりバランスを崩さない様に仕上げることが重要になりますので、パタピッ の自動操作にとどめて、一度作品を作って着用して判断されると良いでしょう。履き心地や形に問題は生じないでしょう。 ![]() 膝幅を測り、その寸法をパタピッ に入力しましょう。 ![]() 股上は、下図の位置を計測しますが、ローライズパンツの場合は、現物のパンツを観察する時、前パンツのウエストラインの傾斜も注意してみましょう。前中心を下げているものを多く見かけます。 その様なパンツでは、「前丈調節」に「−1」などと入力しますが、その場合、製図の仕上がりは、「股上」入力の寸法から1cm引いた寸法になります。 「前丈調節」が「0」のままであれば、製図の仕上がり寸法も「股上」入力と同寸になります。 ![]() この様な方法で、現物を細部に渡り計測し、パタピッ を操作すると、限りなく現物に近いパンツができ上がります。 パンツに限らず、トップスでも同じことが言えますので、最初はシンプルで簡単なデザインから挑戦して、現物の服を元に製図する方法を覚えてください。 次第に操作に慣れてきますので、複雑なデザインでも現物に限りなく近い製図が得られるでしょう。 活用してください。 今回使用した様々な補正機能は、デザインを表現する為に使用しましたが、これらは体型補正でも使用する項目です。 下は、標準体型の製図と、この二つの機能にプラス入力して補正した製図とを重ねて比較した図です。
![]() ヒップが平坦人は、標準的なパンツで、後のヒップに横方向に余りじわができたりします。その補正は、「後傾斜調節」にプラス数値を入力すると、後中心の傾斜が緩み、それにより後中心の股上が浅くなります。 それでも足りない場合は、「後丈調節」にマイナス数値を入力すると、後の股上は更に浅くなります。 余りじわが消えるでしょう。 ![]() もも周りが太い人は、「前渡調節」「後渡調節」にプラス数値を入力すると、腿周りの仕上がり寸法が太くなりゆとりを確保することができます。 パタピッ は、数値操作だけで、デザインを変更したり、体型補正をしたりができます。
パンツ製図は、人間の湾曲したヒップをきれいに表現する意味では難しい分野です。
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