<質問例> ● 縫い代付きのパターンを普段使っています。それに慣れてしまっていますが、でき上がった服に満足できないことが多いです。

パタピッ の入門ソフトから始めてみたいのですが、縫い代は付きますか。

「縫い代」は、デザインによって、素材によって幅が異なることをご存知ですか。
例えば、冬生地でコートを作ろう、、、という時の縫い代は、身頃や袖の縫合線では1.5cm、襟では1cm、裾の折り上げ(ヘム)は4〜6cm

薄手のブラウスやカットソーでは、縫合線の縫い代は0.8〜1cm、裾の折り上げは1.5〜2cm、又は三つ折りをするなど、、、

縫い代は一定ではありません。

パタピッ は、どんなデザインでも引くことができるソフトです。
縫い代は、作成者がどんな生地を使うのか、、、 作成者の独自性も表現できますので、製図ができ上がった最後にする作業です。 作成者が自由に決めてよい作業です。

しかし、これはアパレルメーカーが縫製工場に出す型紙のお話です。(縫い代はCAD機能で引くことができます。 当開発のHILKY CADパタピッ と直接連動しますので、パタピッ の自動機能で引いた製図をCAD機能で縫い代付けをしてください。 又は、使い慣れた他社製CADがある場合は、DXFという拡張子に変換してそのCADで操作することもできます。)

個人がソーイングを楽しもう、、、と思ってパタピッ を使う場合は、縫い代付きの型紙は必要ありません。

質問者の様に、「縫い代付きの型紙に慣れてしまって、、、」という様子が見えます。
それについて説明しますね。

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縫い代付きパターンが市場に出回って、それが年々広がっていく様子を長年に渡って見てきました。昔は型紙には縫い代は付けない、縫い代付きのパターンは存在しませんでした。

なぜなのか、、、からお話をしましょう。
そして、質問者さんの
「満足できない」理由についてもお話しましょう。
ここに気付かれると
「成功」が見えます

既製服のパターン(型紙)ってご存知ですか。 アパレルメーカーがデザインを考案し、試作を繰り返しながら最終パターンができ上がります。 試作の段階では縫い代は不要です。 最後に決定したパターンに縫い代(1cmとか8ミリとか)を付けて縫製工場に提出して、そのパターンを使って工場で服を量産します。

縫製工場では「裁断機」を使って縫い代の外周で布を切り、縫製工員が裁断した布の「1cm奥を縫う」「8ミリで縫合する」など流れ作業で服を仕上げていきます。 僅かな縫い代ですから誤差は少なく正確に仕上がっていきます。 製品化にはスピードが大事です。 この方法はスピードを上げますので、既製服では主流となっています。

このアパレルメーカーが提出する最終パターンは、実は試作段階で大変時間をかけ行き着くパターンです。 つまり、最初に引いた製図で完了ではありません。 慎重です。 試作をしてボディーに着せる、人が着て着心地を確認する、、、 すると「ここを修正したい」「こちらも、、、」と修正箇所が見つかります。 型紙を補正します。。。これを何回も繰り返して最終パターンができ上がる訳です。

シーズンが終わるとパターンが残る。来シーズンは違うデザインを考案しますのでパターンは不要になったりします。

この時残ったパターンを自社、又は他社に委託し販売することで、「パターンの利益」が生まれます。これが市場に「縫い代付きパターン」が出回った始まりなのですが、ブランドを固守するメーカーでは行いませんが、準じて追随する社も増えてきます。 

縫い代の付いた型紙を布に置いて、型紙通りにカットして、1cm奥を縫う、、、これは簡単ですよね。この利点も共感を呼び、アパレルメーカーだけでなくパターンを専門に販売する事業も出てきました。 個人がインターネットでパターンを販売する場合も、この縫い代付き型紙に慣れてしまうと、一般の方も縫い代が付いていないと縫えない、、、という人になってしまいます。

同じ様に、縫い代付きパターンに慣れた方がソーイング教室を開くと、縫い代付きパターンしか使用しない、、、という講座も増えてしまいました。

すると、「縫い代無しのパターンってどう扱ったらいいの?」ということになります。

でも、、、 よ〜く考えてみてください。
決められたパターンで身幅は合いますか? 着丈は満足ですか? 肩幅は自分に合っていますか? ・・・などなど、困ったことが、どこかの箇所で必ず起こります。

例えば、同じ様な体型の人が10人いたとします。
でも、同じ様ですが肩幅や袖丈やバスト、ヒップ、身長など違いがあるでしょう。好みも異なるでしょう。 また、使う生地も違う。(同じ型紙で性質の違う生地で服を作ったらそれぞれの仕上がりは結構ガラッと変わることがあります)

パタピッ の解説でも、様々な場面で「製図の重要性」を繰り返し説明しています。「形が良い」「着心地が良い」は形を決める設計図(製図)がとても大事です。

これは、洋裁を長く経験すればするほど感じることで、その悩みをずっとお持ちの方が一般にはとても多いのです。

「どうしたらいいんだろう???」が、文頭の疑問です。 そんな方が多い様子が見えてきます。

「でき上がった服は、ここがもう少しこうなればよいのにな。。。 ゆとりや着丈や、、、全体のシルエット、形など。。。 気になって着用して気持ちよく外出できない。」

解決策は一つだけです。 充分な縫い代を付けて裁断することです。

大好きな生地を買って、こんな風に仕上がるといいな、、、と思って製作に入るでしょう。 でも、まずその時 パターンに少し疑問を持って慎重になりましょう。
生地を台無しにしてしまわない様に充分な縫い代を付けて裁断してください。

この方法を解説したページをご覧ください。

或いは、こんな方法で作る方もいます。 シーチングで試作をしてから、修正箇所を確認し本番の生地で作る。。。

でも、先ほども書きましたが、生地が変わるとでき上がりも変わります。 シーチングと本番の生地との性質の差はありませんか。 生地の厚み、柔らかさ、硬さ、伸びるか伸びないか。。。 「この生地で服を作る」と決めたら、その生地を裁断し、補正が生じても大丈夫な縫い代を付けて作る、です。

その為に、最初に引くパターンはできるだけ正確である必要があります。
その正確性を求めてパタピッ に行き着きますが、縫い代付きパターンに慣れた方の迷いは「パタピッ に縫い代が付けられるか?」です。

パタピッ に縫い代を付ける機能はCADの中にあります。 でも、パタピッ は数値操作だけで簡単ですが、CADは自動ではありません。 機能を覚えて更に操作に慣れなければいけないでしょう。

縫製工場にパターンを送る様な事業ですとCADが必要ですが、一般の方々はCADは特に必要ではありません。 仮に一般の方も縫い代が必要な場合は、パタピッ で仕上がった製図を印刷し、紙面上に鉛筆で縫い代を付けたらいかがですか。 
事業目的でパタピッ を利用される方も、CAD操作に慣れない方は、印刷した製図に手書きで縫い代を付け、縫製に回している方もいらっしゃいます。 縫い代を正確に付ける透明定規なども売っていますので、CADで戸惑いながら縫い代を付けるよりずっと早いです。

できるだけ正確な製図、、、は どうぞパタピッ に求めてください。

従来の製図方法では、大きなサイズの人は身幅を大きくすると、アームホールも大きく、それに伴い袖やいろいろなところが太くなり、おしゃれをしたい人にとっては 願いが叶いませんでした。
小さなサイズでも同様です。
特に流行の服を求めた場合、どこを探しても満足できる製図は見つかりません。

従来式の製図方法の問題点を解説しました。してご覧ください。

手書きで引く製図で諦めていた方が パタピッ の簡単な操作で形良くでき上がる点が喜ばれています。 従来式の製図で苦戦していたことが、パタピッ の自動機能でかなり楽になることと思います。

使えるかどうか、願いが叶うかどうかと心配な方は、パタピッ入門(詳細は)から始めてみてください。 違いを分かっていただけるでしょう。

そして、どうぞ縫い代無しの型紙の扱いに慣れていただきたいと思います。

今までの習慣を切り替えることは結構難しいことと思います。
でも、考えて!、、、再び失敗しない為には
「充分な縫い代を付ける」・・・ここが大事です。